こんにちは。
今回は日本文学を代表する作家、三島由紀夫さんの長編小説
『仮面の告白』についてご紹介します。
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読んだことがなくても『金閣寺』や『潮騒』などのタイトルは聞いたことがある方もいるのではないかと思います。
もしくは市ヶ谷駐屯地での割腹事件でご存知かもしれませんね。
(私は読む前に先に駐屯地での自決のイメージを持ってしまっていました)
この『仮面の告白』は自身2作目の長編小説で大きな成功を収めた代表作であり自伝的な小説となっています。
同性愛を扱った小説なのでLGBTなど取り沙汰されてる今の時代だからこそ改めて考え、そして読むべき作品であると感じました。
『金閣寺』などのような読みづらさはなく三島由紀夫さんの素晴らしい比喩表現や精緻な文章に惚れ惚れします。
また、性的マイノリティがない方でも徐々に感情移入してしまうこと間違いなしの文章力なので辛い気持ちになってしまう場面もあるかもしれません。
しかし、それを差し引いても考えさせられる作品ですので興味がある方は是非、最後までお付き合いください。
次はどんな人におすすめできるかまとめました。
こんな人におすすめ
- 文学小説が好き
- 三島由紀夫さんの作品が気になる(または他の作品が合わなかった)
- 自伝的小説でもっと三島由紀夫さんのことを知りたい
- 同性愛について理解を深めたい
- 普通の恋愛小説では物足りない
- マイノリティな話が好きだ
- 表現力・文章力のある小説が読みたい
上記のような内容に興味のある方にはおすすめできます。
よく三島由紀夫さんの小説は好き嫌いが分かれるといいます。
情景描写を緻密にしようとしてか慣れない方には周りくどく感じたりすることもあるからかな?と思いますが、とても美しい文章を書く人なので読みやすい本からトライしてみて欲しいです。
好き嫌いはありますが一度、きちんと向き合う価値は大いにあります!
(ちなみにこの『仮面の告白』は読みやすい方かと思います。)
先に『金閣寺』を読んで挫折した方でも『仮面の告白』は読めると思います。
長編小説ですがページ数も少ないですし金閣寺ほど難しい表現や漢字も出てきません。
そのため、どんな方でもわりとスムーズに読むことができるでしょう!
では、これから『仮面の告白』の概要についてお話ししていきます。

『仮面の告白』本の概要
女に魅力を感じず、血に塗れた死を憧憬しつつ自らの性的指向に煩悶する少年「私」。
軍靴の響き高まるなか、級友の妹と出会い、愛され、幸福らしきものに酔うが、彼女と唇を重ねたその瞬間「私には凡てがわかった。一刻も早く逃げなければならぬ」―。
少年が到達した驚異の境地とは?自らを断頭台にかけた、典雅にしてスキャンダラスな性的自伝。
詳細な注解付。
“この告白によって、私は自らを死刑に処す―”初の書き下ろし長編。
のちのすべてが包含された代表作。
巻末に用語、時代背景などについての詳細な注解、佐伯彰一、福田恒存、中村文則による解説、さらに年譜を付す。
「BOOK」データベースより引用
『仮面の告白』は1949年の7月に書き下ろしとして河出書房より刊行。
同年12月の読売新聞の「1949年読売ベスト・スリー」に選ばれました。
1958年には翻訳版(英題:Confessions of a Mask)をはじめ、イタリア、オランダ、スペイン、フランスなど世界各国で刊行されています。
ページ数は304ページとなかなかのページ数に思われる方もいるかもしれませんが本文は238ページまでなので読むのにそこまで時間はかからないと思いますよ。
分からなそうな文字には注釈が振ってあり話の最後に注解として説明がなされています。
私は気になったところはチェックしておいて1度、読み切ってからまとめて注解を読みました。
緒形拳さんが出演している映画もあるようですが探したけど見当たらないので廃盤でしょうね。
同性愛の話といっても肉体的な絡みがあるわけではないのでリメイクされたら見てみたいと思います。
ちなみに坂本龍一がYMOで作曲した「BEHIND THE MASK」という曲は『仮面の告白』のタイトルをヒントに作られたそうです。
ストラングラーズというバンドの「死と夜と血(三島由紀夫に捧ぐ)」(Death & Night & Blood (Yukio))という曲は仮面の告白の中の語句から題名がつけられてる。
(ベーシストが三島ファンであり、詩も、三島の生き方、作品に着想を得たものとなっている。)
興味があったら聞いてみても面白いかもしれませんよ。
もっと影響受けてる作品はいっぱいありそうですので気にしてみるとまた違った視点で作品に触れられていいですね。
今のところはドラマなどもありませんが扱ってる内容的に今後、現代的にリファインされる可能性も、もしかしたらあるかも?そんな気がしています。
お次は著者の三島由紀夫さんについて紹介していきます!
有名な方なので知ってるよって方は飛ばしてください。
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著者紹介
ご存知の方も多いかと思われますが三島由紀夫さんは戦後の日本文学を代表する存在でありノーベル文学賞の候補になるなど世界でも認められてる作家です。
『Esuquire』誌の世界の100人に日本人として初めて選ばれ国際放送のテレビで初めて出演した日本人。
本名は平岡 公威(ひらおか きみたけ)
三島由紀夫という名はペンネームだったんですね!
また、長くなるので詳細は割愛させていただきますが小説家・文芸評論家の川端康成と深いつながりがあります。
あの太宰治とお酒の席で会う機会がありました。
その際に放った言葉が強烈で
「僕は太宰さんの文学はきらいなんです」
と衝撃的な発言をしたことがあるようです(笑)
気まずくなり三島さんはその場を去ったらしく出会いはその一度きり…
お互い天才同士、いろいろと思うところがあったんでしょうかね〜。
代表作はじつに数多くあります。
近代日本文学の名作として名高く難しいと言われてる「金閣寺」、国際的評価も高く映画や舞台化も。
ギリシャの作品に影響を受けた名作「潮騒」は一般的に人気の作品で何度も映画化されてます。
今回、ご紹介してる同性愛をテーマに扱った初の書き下ろし長編の自伝的小説「仮面の告白」も有名ですね。
また、全4幕からなる戯曲の「鹿鳴館」も人気で繰り返し上演されています。
横浜が舞台で少年犯罪の心理描写が巧みに描かれた「午後の曳航」も名作です。
ユーモラスな逆説的道徳のすすめの「不道徳教育講座」やラストどんでん返しがあるエンタメ小説「命売ります」など、ひと味変わった作品もいくつか書かれてます。
たくさん刊行されてる作品の中で必ずきっとあなたにハマる作品があると思うのでチェックしてみて下さい。
私は大人になってから三島由紀夫さんの作品を読みました。
10代の頃に読んでおけば良かったと後悔してます。
今になってハマっていろいろと読みあさっているところなので落ち着いたらまた記事にしたいと思います。
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『仮面の告白』の感想

自伝的な作品なので作者の本質に触れられる
私は三島由紀夫さんの小説を読む前は ” マッチョで右寄りの思想で軍服のようなものを着て自衛隊の駐屯地に立てこもり自決した人 ” という印象が強く今までなかなか読む機会がありませんでした。
(浅はかな知識ですみません)
しかし、いったん読み出すと緻密な描写や比喩表現の素晴らしさに見事にハマってしまいました。
この『仮面の告白』は三島由紀夫さんの自伝的作品といわれており話の内容自体も良いのすが作者本人の本質に迫れるという点において貴重な作品だと感じました。
(この作品を読むことで著者の他の作品を読んだ時の印象が変わるでしょう)
同性愛というテーマを扱ってるのでなかには苦手な方もいらっしゃるかもしれません。
ですが社会的、生物的にマイノリティだからと疎外するのではなく一度、向き合ってみるのに小説というファクターを通して考えてみることはとても良かったです。
理解したいと思ってもなかなか学ぶ機会がないと思うので文学で学べるって素敵じゃないですか?
正直、完全に理解することは当事者でない限り難しいかと思います。
ただ、知るのと知らないのでは大分違います。
同性愛者ならではの心の違和感、苦悩、逃避的思考など読んでいてとても考えさせられました。
終始、性的マイノリティに苦悩する姿が描かれてます。
物語の途中では女性に惹かれその女性をを愛そうとするのですが…といった感じです。
文章が巧みなせいか自分自身、妙に感情移入してしまい切ない気持ちになってしまいました。
小説自体は重厚な内容ですが意外に読みやすくスラスラ読めますので三島由紀夫さんの作品が初めての方はこの『仮面の告白』から読んでみるのもいいかもしれませんね。
印象的な文章が多い
まずは第2章にある好意を持ってる近江という同級生の体を見たときの反応です。
それは夏の雑草が庭を覆いつくして、まだ足りずに石の階段にまで生い登ってくるように、近江の深く彫り込まれた腋窩をあふれて、胸の両脇まで生い茂っていた。
この2つの草叢(草むら)は日を浴びてつややかに輝き、そのあたりの彼の意外な白さを、白い砂地のように透かして見せた。
『仮面の告白』第2章より引用
この文章を見たときにとても感心しました。
普通の人から見たらただの脇の毛をこういう風に表現するのかと!
こういう比喩表現が素晴らしいです。
こうやって文章にするとただの脇の毛も物凄く崇高なもののように感じます。
三島由紀夫さんはこのような表現の仕方がとても上手で他の作品にも多数見られます。
こういった表現を周りくどいと思われる方は正直、他の作品もあまり合わないかもしれません。
他には愛してると思った女性との接吻の場面がとても印象的です。
私は彼女の唇を唇で覆った。
一秒経った。
なんの快感もない。
二秒経った。
同じである。
三秒経った。
私には凡て(すべて)がわかった。
『仮面の告白』第三章より引用
この文章を見るまでの過程でかなり感情移入してしまってるので絶望感が凄まじかったです。
さらに少し先に続く文章が強烈です。
逃げなければならぬ。一刻も早く逃げなければならぬ。
『仮面の告白』第三章より引用
偽りの恋愛には耐えられなかった様子が実に巧みに描かれています。
この文章にはかなりくらいました!
読み進めてきたうえでこのように衝撃的な文章が飛び出してくるのでとても印象に残る場面でしたね。

注解や解説
戦後の小説なので今ではあまり使わないような言葉も多いです。
最後の方に注解として言葉の意味がまとめて載っていますので勉強になります。
結構、この注解を見るのも面白いなと思いました!
また、ギリシャ神話、フランスの作家、聖書など多岐にわたってさまざまな言葉が出てくるので三島由紀夫さんの凄さが改めてわかると思います。
これだけいろいろなことを知っていて、なお作品に落とし込めているので感心しっぱなしですよ。
解説陣も文芸評論家の佐伯彰一さん、シェイクスピアの翻訳などで有名な福田恒存さん、芥川賞などさまざまな賞を受賞している中村文則さんなど豪華です。
3人それぞれの解説が見れるので読後の一服には贅沢すぎるくらいですね!
まとめ
以上が三島由紀夫さんの著書『仮面の告白』についての感想・紹介でした。
いかがでしたでしょうか?
ページ数も少ないですし読みやすい文章になっています。
有名な「金閣寺」などで挫折した方も是非、読んでみてください!
作品で扱ってるテーマが同性愛なので性的マイノリティが騒がれてる現代だからこそ読んで少しでも理解を深めていただければいいですね。
この記事を読んで気になった方の参考に少しでもなれれば嬉しく思います!
他の作品も素晴らしい作品が多いので手にとってみてくださいね。
私のように三島ワールドにハマってしまうかも?
では、また。
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